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精密板金の設計段階で知っておくべきこと【加工可否編】

精密板金において製作時のトラブルを避けるためには、適切な設計をすることが重要です。

実際に起きているトラブルの一例を挙げると、下記のようなトラブルがありますが、

 

・穴加工と曲げ加工の距離が近いと穴が変形する

・連続溶接にをすると、歪みが発生する

・不要な内R指示により、加工コストが上がる

 

精密板金では、設計段階において適切な加工指示を実施しないと、上記のようなトラブルが発生してしまいます。

このようなトラブルを考慮した上で設計をすることで、加工時のトラブルの防止や製作コスト削減をすることが可能です。

 

今回の記事では、よく起きる簡易トラブルと当社の改善方法を紹介いたします。

 

設計段階でよくある簡易トラブルとその解決方法

①曲げ(側面の立ち上がり)寸法は制限がある

曲げ(側面立ち上がり)寸法には制限があるため、加工可能な製品サイズを把握した上で設計をする必要があります。

例として、板厚が2mmの板金の場合、通常の金型では4mm以下の加工ができないので、予め余裕をみて4.5mm以上の設計で見積りをいただくと、スムーズな加工が可能です。

どうしても必要な場合には代替加工提案をさせていただきます。

 

②穴加工と曲げ加工の距離を考慮し、穴の変形を防ぐ

穴加工と曲げ加工の距離が近すぎると、穴の変形が起きてしまいます。

そのため、曲げ位置と穴の距離を十分に確保した上での加工が必要です。この曲げ位置と穴の距離がどうしても保てない場合は、曲げ加工を行なってから穴加工を行なう必要があります。

こうした加工も考慮に入れた上で設計を行うことで、トータルとしてコストを低減することができます。

曲げ加工を行なう付近のキリ穴は変形に注意するafter

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③製品強度・仕様に合わせてナットとバーリングを使い分ける

ネジ留めによる部品接合において、製品強度や仕様によってはナットとバーリングの使い分けをする必要があります。

高い強度が求められない場合や取り付け・取り外しを繰り返し行うような製品は、バーリングが最適です。

反対に、強度が必要で、使用頻度が高い製品の場合は、ナットでの接合が最適です。

 

④意匠性や強度、溶接距離に合わせた溶接指示

溶接が必要な製品は、意匠性や強度、溶接距離を考慮した溶接指示が必要です。

設計者が現場作業を把握するのは難しく、外観と強度をどの程度重視するのか、溶接範囲を板金加工会社にきっちりと伝えた上で、下記図面のように作業者に一任するのがベストです。設計側が想定していない事にも対応し、必要な要件をみたした製品を作ることができます。

製品の仕様上、どうしても長距離の溶接をしないといけない場合は、コーキングでの接合を推奨しています。

その中でも、薄板の全周溶接は歪みが発生しやすいため、スポット・リベットへの変更を検討ください。

溶接指示は外観・強度・溶接範囲を伝え、作業は現場に一任するafter

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必要以上の曲げ部分の内R指示は避ける

曲げ部分の内Rは、金型・板厚によって決まることが多いため、必要以上の曲げ内Rの指示があった場合は、加工コストが高くなってしまいます。特殊な理由がなければ、下記図面のような「内R6以下」の最低限のR指示に変更することを推奨します。

そうすることで、最適なコストでの加工が可能になります。

お客様の指示のよりRの指定が必要な場合は、一度ご相談ください。

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⑥必要以上の平面度・面粗さの指示は避ける

平面度・面粗さも曲げ加工同様に、必要以上の指示があった場合、コストが高くなってしまいます。

そのため、下記図面のように必要以上の平面度・面粗さの指示は避けていただき、どうしても必要な場合は、別の加工方法で検討していただけると、最適コストでの加工が可能です。

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⑦一般板金公差JISB0408に沿った公差を指定する

板金加工においては、機械加工並みの公差(±0.05)を求めると加工費が高くなってしまいます。

そのため、基本的に寸法公差については一般板金公差JISB0408に沿って、必要な箇所のみ公差を指定いただけると、最適コストでの対応が可能です。

 

このようなトラブルに考慮した設計をすることで、後戻りがない設計を実現することができます。また、それによりリードタイム短縮および、加工コストの削減が可能になります。

当社では、設計段階からのVAVE提案も積極的に行っておりますので、ぜひご相談ください。

 

精密板金の設計段階でのお悩みは、精密板金ひらめき.comにお任せください!

いかがでしたでしょうか。

今回は、精密板金の設計段階で知っておくべきこと【加工可否編】を紹介しました。

精密板金において設計段階でお困りごとがあれば、当社にご相談いただけますと非常に嬉しいです。

精密板金ひらめき.comを運営するCrest Precisionでは、精密板金の設計・製作を手掛けてきた豊富な実績がございます。

また、溶接やリベット等の最適な結合方法の検討や、求められる強度に考慮した材料・板厚の選定など、お客様のご要望に合わせた提案も行っております。

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