板金筐体設計・製作における、材質選定のポイント
投稿日:2024年02月05日
板金筐体の材質を正しく選定するポイントは?
板金筐体の設計・製作では、使用用途やコスト、納期に合わせた最適な材質の選定が必要になります。
実際に当社のお客様からも、
「耐食性は欲しいが、コストを抑えて製作したい…」
「処理鋼板は、屋外での使用に向いているのか… 」
「屋外で使用する筐体が欲しいが、できるだけ短納期で納品してほしい… 」
などの、ご相談をよくいただきます。
板金筐体の設計・製作において最適な材質を選定するには、加工後の塗装や表面処理などを考慮した上での材質選定をすることが重要です。そうすることで、他の材質と比較して、コスト削減ができたり、納期短縮できたりするなど、板金筐体の製作におけるメリットを得ることができます。
板金筐体で使用される金属材料
板金筐体に使われている金属材料は、SPCCやSUS304、A5052 等、様々な材料がありますが、本記事では、その中でも当社での取り扱い実績が多数ある、SPCC、アルミ、ステンレス、処理鋼板(SECC)の材質を比較し、板金筐体の製作における材質選定の見分け方を紹介します。
今回登場する材質については下記のとおりです。
・SPCC…冷間圧延鋼板とも呼ばれる、鉄系の材料です。加工性の高さが特徴です。
・SECC…ボンデ鋼板とも呼ばれます。SPCCに電気亜鉛メッキ処理を施した材料です。
・SUS304…一般にステンレスと呼ばれる、サビやキズに強い材料です。
・ZAM…SECCと同じく、こちらもメッキ鋼板と呼ばれる材料です。詳細は補足ポイントにてお伝えします。
・A5052…一般にアルミと呼ばれる板金材料です。軽量ですが、加工難度はやや高いです。
是非、板金筐体の製作依頼時に、当記事の情報をご活用ください。
板金筐体の設計・製作における、材質選定のポイント
板金筐体の設計・製作において、屋外使用、外観品質など、使用用途に合わせた材質選定が重要になります。使用用途によって、材質や塗装・表面処理などを変更すると、コスト・納期も変わってきます。
下図にて、各材質ごとにコスト・納期 等、を比較して紹介しておりますので、ぜひご確認ください。
1.屋外での使用を考えておらず、コストを抑えたい場合は、SECCを!
上図からわかる通り、SECCは屋外仕様に不向きですが、SPCCやSUS304、A5052と比較してもコストを抑えて製作することができます。そのため、屋外で使用しないような板金筐体の製作において、コストを抑えたい場合は、SECCを選定することを推奨します。
2.屋外使用を考え、コストを抑えたい場合は、SPCC+塗装、処理鋼板+塗装を!
屋外使用を考えコストを抑えたい場合は、SPCC+塗装または、処理鋼板+塗装をおすすめします。基本的に、塗装工程を加えることにより、屋外使用性や耐食性は強くなります。コストは、やや高くなりますが、その他材質と比較して、屋外向きの板金筐体の製作が可能です。
~補足ポイント~
①ZAM材について
ZAMとは、高耐食性メッキ鋼板のことで、亜鉛-アルミニウム6%-マグネシウム3%のメッキ層をもつ溶融メッキ鋼板です。ZAM材の特長は、耐食性が他の溶融亜鉛メッキ鋼板に比べて約10~20倍優れています。切断面に関しても、ZAM材の場合は、亜鉛系保護皮膜が切断面を少しずつ覆っていくので優れた耐食性を発揮します。ただ、メッキ層をはがすと、錆が出てしまうこともあるのでご注意ください。
②塗装について
塗装は、全面塗装をすることが基本ですが、処理鋼板の場合は、片面塗装の選択も取ることができます。それにより、塗装工程がスムーズに進み、納期が短縮できたり、コストダウンに繋がることもあります。また、どうしても塗装ができない箇所も、処理鋼板の場合は、既に処理がされてあるため、一定の耐食性を維持することができます。
3.耐食性が求められる板金筐体は、SUS304!
SUS304は、コストは高いですが、錆や腐食に強い材質です。そのため、耐食性が求められる環境で使用する板金筐体の製作を検討されている場合は、ステンレスを推奨します。
4.板金筐体を軽量化したいなら、A5052+塗装を!
A5052は、SPCCとSUS304の3分の1の重さのため、金属材の中でも軽量化に優れた材質です。また、金属材の中でも高い耐食性を持ち、屋外仕様にも向いています。
板金筐体の材質選定でお悩みなら、精密板金ひらめき.comにお任せください!
いかがでしたでしょうか。板金筐体の依頼時に今回ご紹介しましたポイントを思い出していただけると非常に嬉しいです。
精密板金ひらめき.comを運営するCrest Precisionでは、板金筐体の設計・製作を手掛けてきた豊富な実績がございます。
また、溶接やリベット等の最適な結合方法の検討や、求められる強度に考慮した材料・板厚の選定など、お客様のご要望に合わせた提案も行っております。
板金筐体の設計・製作は、ぜひ当社にお声掛けください。