アルミへの材質変更で、押さえておくべき設計ポイント
投稿日:2023年09月18日
鉄・ステンレスとアルミでは、設計におけるポイントが大きく異なる
精密板金において、鉄・ステンレスからアルミへの材質変更を検討されたことはないでしょうか。鉄・ステンレスと比較すると、アルミは軽く、耐食性に優れているため、用途によってはアルミが最適なケースも多くあります。特に、近年では、軽量化の需要が非常に高まっており、高速で移動・駆動する機械や装置の部品など、アルミが重宝される場面も増加傾向にあるといえます。
しかしながら、アルミは、鉄・ステンレスとは異なる特性を持つ材質であるため、単に材質変更をすると、「製品として成り立たない…」なんて事態にも陥りかねません。つまり、鉄・ステンレスとアルミでは、設計におけるポイントが大きく異なります。そこで、今回はアルミへの材質変更で押さえておくべき設計ポイントをご紹介します。
ポイント①:割れを防ぐため、曲げRを考慮して設計を行う
アルミは曲げ加工の際に割れやすい材質であるため、板厚に応じて曲げRを大きく取るように設計する必要があります。例えば、アルミ精密板金を設計する際に、内Rを鉄やステンレスのように鋭角・直角で設計をしてしまうと、割れが発生しそもそも精密板金の製品として成り立たなくなってしまいます。
さらに、ボックス形状の製品を設計・製造する際には、内側がRによって狭くなるため、組み込まれる別製品を格納する有効面積が狭くなってしまいます。つまり、アルミを用いた精密板金はどうしても曲げRができてしまうので、これを考慮して設計を行う必要があります。
>>【VA/VE事例】曲げが必要なアルミ板金は、曲げRを考慮して設計する
ポイント②:歪みの発生しやすい溶接を避ける
アルミは溶接による歪みが発生しやすい材質であるため、溶接を行うと歪みが生じてしまいます。そのため、アルミの精密板金加工品に溶接を採用している場合は、溶接以外の接合方法を検討することが重要です。製品用途上、溶接が望ましい場合には強度を担保できるTIG溶接や歪みの発生が少ないファイバーレーザー溶接等を使い分けることが重要です。
>>【VA/VE事例】溶接からリベットに変更することで溶接歪みを解決する
ポイント③:外観品質が求められる場合は、溶接方法・箇所を細かく指示する
アルミは、ステンレスや鉄と比較し、溶接後の表面処理が難しい材質といえます。ステンレスは溶接後の表面処理として後からバフ研磨を行うことができますが、アルミの場合、後処理としてバフ研磨を施すと素材の特性上、どうしても溶接痕が残ってしまいます。また、通常のアルマイト処理を行ったとしても同様に溶接痕が目立ってしまうことがあります。そのため、アルミの外観品質が求められる場合には、設計時に溶接の方法や箇所の詳細指示及び詳細打ち合わせすることが重要です。
ポイント④:強度を確保するため、板厚を厚くするなどの対策を行う
アルミはステンレスや鉄と比較し、強度が低い材質であるといえます。そのため、鉄・ステンレスからアルミへ材質変更する際は、強度を考慮して、予め板厚を厚くする、もしくは、曲げを要所に入れるなどの対策により強度を確保することが重要です。
ポイント⑤:ねじ留めを行う際は、ヘリサートを活用する
アルミは強度が低いため、通常のねじ留めを行うとねじ山が破損する恐れがあります。そのため、アルミへねじ留めを行う際には、ヘリサートを用いることが重要です。ヘリサートを活用することで、ねじ山が破損を未然に防止することが可能です。
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